昨年11月にJR北海道は会社単独で維持困難な10線区13区間を発表しました。この中にはバス転換を含め検討を進めるという、実質的な路線廃止に踏み込んだ区間も3区間ありました。なぜここまで経営が悪化したのか、その要因は数多くありますが、一つ大きな要因としては乗客数の低下です。北海道ではこの20年で高規格道路を含めた高速ネットワークが大きく拡大をしました。その結果として、車の利用者が増え、鉄道を活用しなくなったことが挙げられます。

 僕の考えとしては、北海道のような広大な地域では生活路線、観光路線のどちらの観点からも路線維持は不可欠です。しかし、JR北海道の経営状況や沿線自治体との関係性、さらには知事の消極的姿勢を考えると今後どうしていくべきか結論を出すことは非常に難しいところです。

 鉄路維持のヒントはないのか考えていたところ、自称鉄道マニアの僕のアンテナに引っかかったのがJR西日本の三江線路線活性化協議会の活動でした。乗客数減少により廃線の危機にあった三江線を地域が路線維持に向け、様々な境実証実験に取り組んできました。様々な取り組みを行ったにもかかわらず、結論から言えばこの路線は2018年3月に廃止となります。しかし、この間の取り組みから北海道の鉄路維持に繋がるヒントは何かあるはずです。そんな思いで今回JR出身者である同僚の菅原和忠議員(厚別区選出)と調査に行きました。

また、JR三江線廃止問題と合わせ、広島市内を走る可部線の一部廃止区間の復活電化延伸(2017.3)についても実地調査を行いました。

 

なお三江線・可部線の詳細データについてはウィキペディアなどを参照されることとして…。

JR三江線実地調査および意見聴取報告(2016.12.20)


①まず乗ってみて

 三江線は島根県江津市と広島県の内陸部三次市108キロを3時間半かけて結ぶいわゆる超ローカル線です。一級河川江の川沿いのきょうわいな山間部を縫うように走ります。起工は1926年と早かったものの、全線開通したのは遅く今から40年ちょっと前の1975年。現在は1日の運行本数が5本と驚くほど少なくなっています。(北海道でも同様の線区もありますが…)

 当日は江津16:36発浜原行きの列車に乗車。途中駅の石見川本町にて意見交換を行うために下車します。

 高校生の下校時間にもかかわらず、学生は5名ほど。その他乗客を合わせても12名。聞くところによると、江津市内の私立・県立高校はスクールバスを運行しており、そちらを利用する生徒が多くいるとのこと。

 江津駅構内には三江線沿線風景のフォトコンテスト作品や各種ポスターが掲示されていました。また、今回乗車した2両編成のうちの一両はいわゆるラッピング列車で島根ゆかりの八百万(やおよろず)の神のイラスト、車内も同様にイラストや三江線存続のポスターが貼られていました。 

 定刻発車後、スピードが思ったより上がらず、当日一緒に乗車していただいたJR西日本労働組合宮野情宣部長からは、「三江線は30キロ制限区間が多く速度を上げられない」との説明を受けました。一部当時の鉄建公団が整備した一部区間を除き、最高速度も65キロに制限がかかっています。また路盤が脆弱なことやカーブが多いこともあり、落石事故がこの5年間で数回発生し、そのうち2回が不通となりました。こういったことも乗車率低下に拍車をかけていると考えられるところです。

約30分で川戸駅に到着。ここで6名が下車。すでに下車した人を含めると、利用はここまでがほとんどのようでした。江津駅より乗車した高齢の女性(とりあえずAさん)に三江線について聞いてみました。

かわすみ「普段利用されるんですか?」

Aさん「通院や買い物で週に1、2回利用してます」

かわすみ「三江線がなくなることご存知ですか?」

Aさん「知ってますよ。でも仕方ないんじゃないかしら、若い人はみんな車で江津や出雲まで出かけるもの」

かわすみ「なくなると不便じゃないですか?」

Aさん「それはそうだけど、バスが替わりになるらしいじゃない。列車じゃ本数少ないから多くなるといいかしらね」

 三江線の沿線の多くは江ノ川対岸に集落や主要道路が走っており、駅を利用しにくいこともあるようです。以前は高校生の利用も多くあったのですが、島根県でも北海道と同様に高校の統廃合が進み、三江線沿いの自治体においても統廃合が行われました。当初は鉄道を利用して通学を検討していたのですが、路線特有の事情として、速度が出せないこと、行き違い設備のある駅が全線で2駅のみと通学に合わせた運用ができないことがありました。結果として、スクールバスの要望も出され、通学困難な地域の生徒が利用を始めたのを追いかけるように、多くの生徒がバスを利用することとなったようです。


②実際の取り組みについて

 石見川本駅にて下車し、沿線自治体が立ち上げた三江線活性化協議会の原田事務局長、JR西日本株式会社米子支社企画創造科安井課長代理、JR西日本労働組合米子地方本部廣澤執行委員長、中央本部宮野情宣部長からこれまでの取り組みなどについて意見聴取を行いました。

 まず、原田事務局長からはこれまでの活性化協議会の取り組みについて説明を受けました。協議会として三本柱「生活路線」「わが町のふるさと路線」「観光路線」としての三江線をテーマにマーケティングや社会実証実験等に取り組んできました。マイカー回送プランや回数券、学校での活用、観光イベントとしてフォトロゲイニングの実施、各駅に八百万の神の名称設定等々、数多く取り組んできました。

JR西日本としても存続を前提として、これらの取り組みの後押しをしてきましたが、思ったように利用者増には結びつかず、配線を決定し沿線自治体もこれを受け入れました。

 もちろん、三江線を利用してもらうために取り組んだ成果はありました。課題として残ったのは行政主導となったことです。あくまでも鉄道利用の主体は沿線住民です。住民の中から存続のための動きが出てきなければうまくいかないとのことです。列車で3時間以上かかるところが完成した高速道路を一部利用すれば1時間程度で移動ができてしまいます。そこに鉄路存続の意義を見出せなかったのかもしれません。たしかに観光路線としては、活性化協議会が取り組んだフォトロゲイニングなど、沿線の名所と組み合わせた取り組みは非常に好評だったそうです。また翌日の江津始発列車を待っていると、何名かいわゆる鉄道マニアの皆さんが乗車していました。しかしながらそれだけでは利用者増につながらず、いかに日常の足として使ってもらうことが必要でした。ここに沿線住民ともっと連動した取り組みが必要だったのかもしれません。

↓※こちらが実際に取り組まれていた実証実験の内容です。


③今後とこの結果から

今後はバス転換に向け、どのようにバス路線や時刻を設定するか検討に入ります。もちろん配線を決定したJRもこの協議に参加をするとのことです。

  人口減少が進む中、そして、高速道路を含めた道路整備が進む中では、こういった鉄路に優位性はありません。しかし、車を利用できない、また、定時運行に優れる特性からいえば鉄路の必要性はあると考えます。今回の意見聴取では鉄路を残す残さないといった論議だけではなく、沿線自治体の地域活性化を進めることも視野に行けなければならない話も出ました。縮小し続ける人口の中で乗車率アップははっきりいってのぞめるものではありません。北海道も同様です。重要なのは鉄道運営会社と沿線自治体が地域の活性化に向けて産業の創出を含め何ができるか一緒になって考えていくこと、また自治体首長が住民に鉄路の重要性をどのようにつたえ、活用方策を住民とともにどう考えるかに鍵がありそうです。今の北海道の現状を考えると、この視点が抜け落ちたまま、論議が行われているような気がしてなりません。

 


可部線電化延伸実地調査報告(2016.12.21) New!


二日目は広島市内を走る可部線の延伸について調査をしました。以前の可部線は横川から三段峡までを走る全長60キロメートルの路線でしたが、2003年に可部〜三段峡間(約46キロメートル)が利用者減のため部分廃止となりました。しかし、可部駅より先は広島市のベッドタウンとして住宅も多く、一部復活(廃止となった区間なので、正式には延伸)を求める運動が起こりました。総事業費27億円のうち、3分の1を国、残りを広島市が負担、駅舎・路線の整備・保有は広島市、運行をJR西日本で行ういわゆる「上下分離方式」で河戸帆待川・あき亀山の2駅(1.6キロ)が電化延伸となりました。踏切整備や古い路盤回収等で運行開始二時間がかかったものの、2017.3月ダイヤ改正で正式に運行が始まります。昨年12月の時点でその整備状況についてJR西日本労働組合宮野情宣部長の説明のもと、調査を行いました。

①本当に廃止?

広島駅の二つ目、横川駅から可部線に入りました。可部へ向かう途中は商業地や住宅地であることから乗客も多く、沿線の高校・大学生の姿も多く見られました。可部駅に20分ほどで到着です。ここから1.6キロの区間が延伸となります。可部駅に降りた最初の印象はこの先が廃止されたのは事実かと思うほど市街地であったことです。特に延伸される線路沿いには、税務署、ショッピングセンターなどがありました。このような地域もありながら、廃止になったのは電化区間が可部駅までであったこと。このことから可部駅から先で採算が見込まれていたとしても、物理的に非電化区間の一部を残すことができなかったからと考えられます。ちょうど調査をした時は試運転の前日であり、線路等敷設物の最終点検が行われていました。

 これまで一度路線廃止となった後に復活した例はありませんでした。ただ、住民からの要望や広島市においても十分採算が見込めることもあり、JR側と電化をした上での延伸を求めてきました。一度路線廃止となったため、延伸は「新線」扱いとなったため、現在の鉄道敷設に関する法律上、道路とは立体交差を原則とすることから、その取り扱いに時間がかかり、開通が伸びたこともありましたが、実際に現場を見る限り、鉄道が廃止されたことに疑問符がつくような地域でもありました。



②採算と維持能力が必要なのは当然として、鉄路維持のためにはどうするか

廃線からの復活は通常ありえない訳でして、今回はそもそも廃止された区間の一部は採算が見込まれていたにもかかわらず、電化・非電化区間の境目にあったことや、広島市が応分の負担が可能であったことに尽きるのではないかと考えます。

 鉄道事業者にとって、やはり採算に見合った路線であるかどうかが一つのカギであることは明白です。可部線でも一部廃止が決定した後に、沿線自治体からの要望により、実証実験が行われましたが、結局は休日の乗客数が増えたのみで、平日の利用は増えなかったことがありました。

 今北海道の鉄路が大きな岐路に立たされている訳で、一部には路線廃止はやむなしの声があることも承知しています。いくら公共交通としての鉄路維持を声高に叫んでも、「乗らないんだもん、赤字でしょ」と言われればどうしようもなくなります。なぜ北海道に鉄路が必要なのか、高速道路網の整備一辺倒をもう一度見直すことも重要ですし、道路も鉄道も同じライフラインであることを考えれば、その財源も一緒に考えていくことも必要です。今は車に乗ることができても、将来的にどうなるかはわかりません。もちろんセンチメンタルな思いだけではJR北海道は潰れてしまいます。

 今後は行政が鉄路維持のために住民を巻き込んだ世論形成を行なっていかなければならないですし、国への支援要請、財源確保に向けた動き、何より知事を先頭に北海道が鉄路維持を前提とした交通体系のあり方を早急に示さなければいけないはずです。



更新情報

〇道政だよりNo.13掲載しました(2018.10)

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お知らせ

第4回定例道議会は12月13日に閉会しました。

 第1回定例どう議会は2月15日開会予定です。

 予算特別委員会第1分科会委員の予定です。

 


12月の主なとりくみ

★第4回定例道議会

・第3回石狩湾新港管理組合議会

・市内各所・スーパー前街頭演説実施(朝里トライアル前追加)

・菅原和忠道議(札幌市厚別区選出)道政報告の集い

・国際交流の集い

・小樽市消防行政研究会定期総会

・後志平和運動フォーラム定期総会

・北海道命名150年音楽祭




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